アラン 芸術の体系

こんばんは。教授からいい本だよと教わった本に、アランの芸術の体系があります。光文社古典新訳文庫に収録されてる本書、とても読みごたえがありました!というわけで紹介したいと思います。

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まず作者のアランという方についてさらりと。第一に幸福論の著者として有名ですね。本名はエミール=オーギュスト・シャルティエといい、1868年生まれのフランス人思想家です。この人が他の思想家と違うところ、それは本職は大学教授ではなく、公立中学校の先生!という点でしょうか。(といってもアンリ4世高のような名門校で、公立中学校は日本でいう高校みたいなものです)そこで先生をしながら執筆活動をしました。特徴はとにかく短文で簡潔!新聞に(プロポ)と題した短文を連載し、それがアランの思想の発表場になりました。

 

 

この芸術の体系は1914年から始まった第一次大戦の期間中に書き進められましたが、なんとアラン自身従軍してます(^◇^;)そのような過酷で、1番芸術と距離のある世界において生まれた、非常に変わった芸術論なのです。

 

 

中身を見ていきましょう。第一に想像的創造力というテーマ。つまるところこの章が全てと言ってもいいでしょう。この章で、芸術はインスピレーションによるものではなく、理性による想像力の抑制にあると書かれているのです。あとはそれに対する膨大な注釈といったところでしょうか。ダンス、詩、音楽、演劇、建築、彫刻、絵画、デッサン、散文(小説など)様々なジャンルの芸術に対して述べられています。どれも明晰でわかりやすく、説得力がありますのでぜひご一読くださいね。

 

 

個人的に印象に残っているのは、芸術は情念を表現するのでは全くなく、克服された情念を表現するのだ、という一節。アランの立場がよく分かりますね!また彼には芸術20講という著作もありますので、またの機会に紹介します。

 

https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/B00H6XBAL2/ref=mp_s_a_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&qid=1496149086&sr=8-1&pi=AC_SX236_SY340_QL65&keywords=アラン+芸術&dpPl=1&dpID=41oZ3xYqwJL&ref=plSrch

 

 

初めまして

現役東京藝大生の〇〇です。まぁここではイタリア人風にドルチェマーレと名乗っております。音楽や美術といった芸術一般のことについて書いていくつもりです(もちろん脱線しますが)よろしくお願いします。

 

また、藝大について知りたい方や興味がある方のコメントにも答えていきますので、どしどしコメントお待ちしておりますf:id:Dolcemare92:20170530210604j:image